2009 年 24 巻 5 号 p. 1065-1070
近年、高齢者が増加し今後、日本は今までに経験をしたことがない高齢化社会を迎えようとしている。それに伴って、従来施行されてきた栄養サポートの理論が少しずつ変化してきている。特に高齢者の場合は、潜在的に生理機能が低下し栄養サポートでは極めて重要な「骨格筋」が減少して、器質性多疾患に陥っている患者が散見される。高齢者の栄養サポートのポイントは「動いて食べる」ことにつきるが、認知症の発症にて食行動の意欲が減少したり、長期臥床において十分な体動が得られない症例も少なくない。特に体動の少ない高齢者や長期臥床患者においてはエネルギー提供量の過不足による新たな問題も生じるため慎重に検討しなくてならない。本稿においては、高齢者の栄養学視点から見た特徴や従来、多くの施設で施行されているエネルギー必要量の算出式の問題点、身体計測等を概説する。