静脈経腸栄養
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24 巻 , 5 号
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特集:必要エネルギー量の算出法と投与の実際
  • 田中 茂穂
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1013-1019
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    総エネルギー消費量は、基礎代謝量と食事誘発性体熱産生、身体活動によるエネルギー消費量に分けられる。基礎代謝量は、標準的な日本人において約6割を占めるが、体格・身体組成からある程度推定できる。ただし、ハリス・ベネディクトの式では、若い年代をはじめ、成人全体において、過大評価する傾向がみられる。一方、身体活動、特に運動以外の身体活動によるエネルギー消費量 (NEAT) には、同じ体格でも大きな個人差がみられる。総エネルギー消費量を推定するための方法としては二重標識水 (DLW) 法がベストの方法とされているが、現実的には、それぞれの方法の特徴をふまえた上で、加速度計法あるいは生活活動記録などを用いることとなる。
  • 佐々木 雅也, 丈達 知子, 栗原 美香, 岩川 裕美, 藤山 佳秀
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1021-1025
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    間接熱量測定では消費エネルギーを実測することが可能であり、必要エネルギー量の算出に有用である。また呼吸商の違いから、炭水化物や脂質の消費エネルギーも求めることが出来る。しかし、測定には特別な器機とスキルを必要とする。また病態によっては、消費エネルギーや呼吸商の測定値に誤差も生じやすい。臨床に応用する場合には、間接熱量測定の原理や特徴をよく理解する必要がある。さらに近年、簡易型の間接熱量計や人工呼吸器に整備された器機も市販されているが、それぞれの器機によって測定原理や方法が異なる。それぞれの器機の特徴をよく理解して使用することが大切である。
  • 寺島 秀夫, 只野 惣介, 大河内 信弘
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1027-1043
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    侵襲が加わった生体のエネルギー需要は、侵襲反応として供給される内因性エネルギー供給と栄養療法として投与する外因性エネルギー供給の相互作用によって充足される。現在、内因性エネルギー供給を測定することができないため、外因性に投与する至適エネルギー量が算定できない状況にある。故に、栄養療法の立案に際してその基軸となるべき至適エネルギー投与量が決定できないために、最適化された栄養療法を実践することが困難となっている。従来の栄養療法は、侵襲下においても生体のエネルギー消費量を外因性にすべて供給するとした基本概念を採用してきたが、このエネルギー投与法は必然的に過剰エネルギー投与として作用して有害事象が発生するため、蛋白代謝の改善が得られないばかりか、栄養療法自体が有害、逆効果になり兼ねない問題を内在していた。こうした状況を踏まえ、侵襲下の代謝動態に基づくエネルギー投与法の考え方を提言して論証を行った。
  • 濱田 康弘, 上野 公彦, 河野 圭志, 門口 啓, 宇佐美 眞
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1045-1051
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    肝臓は三大栄養素のみならず、各種ビタミンなどの代謝における中心臓器である。また、腎臓は生体の恒常性保持に必須の臓器である。すなわち、それぞれの機能が障害されるとさまざまな代謝異常が生じてくる。肝障害においては、安静時エネルギーの亢進、脂肪の燃焼亢進、糖質の燃焼低下がみられる。さらに、分岐鎖アミノ酸の減少といった特徴もみられる。腎障害においては、エネルギー消費量が増大し異化亢進状態となり、体蛋白の崩壊をきたす。さらに肝不全と同様、分岐鎖アミノ酸の減少がみられる。治療面においては、肝不全における蛋白不耐症のため、また、保存期腎不全における腎機能保護のために蛋白制限が必要といった特殊な栄養学的治療が必要となる場合もある。
  • 織田 成人
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1053-1057
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    敗血症は感染によって引き起こされた全身性炎症反応症候群 (SIRS) であり、重症化すると多臓器不全に陥り死亡する重篤な病態である。その代謝動態には神経―内分泌系反応とサイトカインを中心とした免疫―炎症反応が深く関与している。敗血症時の代謝異常は、消費エネルギー量の増大とタンパク異化、糖代謝、脂質代謝の亢進が特徴である。従来、敗血症時の投与エネルギー量は基礎代謝量の1.3倍程度とされてきたが、最近のガイドラインでは20―30kcal/kg/dayの投与が推奨されている。また、その栄養管理においてはできるだけ静脈栄養を避け経腸栄養を早期から開始すること、インスリンを用いて血糖値を150mg/dL程度に管理することが推奨されている。脂肪製剤に関しては、従来のω-6系脂肪製剤は避けるべきであるが、GLAとω―3系脂肪酸であるEPAを強化した経腸栄養剤を、特に急性肺傷害 (ALI)/ARDSに対して用いることが推奨されている。
  • 池田 弘人
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1059-1063
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    重症広範囲熱傷患者の治療においては栄養療法が非常に重要である。熱傷患者はその受傷急性期の激しい高い代謝異化亢進状態がよく知られているが、その後も度重なる手術侵襲や感染合併により代謝亢進・エネルギー消費が続くため、その状態を放置すれば、早晩、生体予備能が枯渇し治癒機構が機能しなくなり臓器不全に陥り死に至る経過をたどる。よって、治療期間中のこのエネルギー消費および栄養状態をいかにしてモニターし、喪失される量をいかにして補うかが救命・回復のカギとなる。とくに近年は熱量の過量投与および高血糖状態は好ましくないとされ、間接熱量計を用いた代謝モニターが有効であり、適切熱量の投与およびインスリンを併用しての積極的血糖コントロールが推奨されている。
  • 宮澤 靖
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1065-1070
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    近年、高齢者が増加し今後、日本は今までに経験をしたことがない高齢化社会を迎えようとしている。それに伴って、従来施行されてきた栄養サポートの理論が少しずつ変化してきている。特に高齢者の場合は、潜在的に生理機能が低下し栄養サポートでは極めて重要な「骨格筋」が減少して、器質性多疾患に陥っている患者が散見される。高齢者の栄養サポートのポイントは「動いて食べる」ことにつきるが、認知症の発症にて食行動の意欲が減少したり、長期臥床において十分な体動が得られない症例も少なくない。特に体動の少ない高齢者や長期臥床患者においてはエネルギー提供量の過不足による新たな問題も生じるため慎重に検討しなくてならない。本稿においては、高齢者の栄養学視点から見た特徴や従来、多くの施設で施行されているエネルギー必要量の算出式の問題点、身体計測等を概説する。
  • 東口 高志
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1071-1075
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    間接熱量計を用いてがん患者の代謝動態を検索した結果、飢餓状態にある場合には健常人と同様にセーブモードが加味されるため代謝亢進がマスクされるものの明らかにエネルギー消費量が増大していた。しかし、悪液質の出現に伴ってエネルギー消費量が一気に減少することが明らかとなった。したがって、この瞬間こそが投与水分量やエネルギー量などを減じるいわゆる栄養管理におけるギアチェンジの実施すべき時期であり、この時期を越えて高カロリーの投与を行うことは生体に対して大きな負担となり、逆に患者を苦しめることにつながる。
総説
  • 沢井 博純, 高橋 広城, 打田 由美子, 竹山 廣光
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1077-1083
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    不飽和脂肪酸のうちω6系多価不飽和脂肪酸は癌細胞の増殖を亢進、ω3系多価不飽和脂肪酸は抗腫瘍効果を示す。これらω3/6系多価不飽和脂肪酸の作用はcyclooxygenase (COX) により分解・生成されたプロスタグランディンによる効果と考えられている。我々は、膵癌細胞にω6系多価不飽和脂肪酸を作用させることで癌細胞の増殖・浸潤能が亢進、逆にω3系多価不飽和脂肪酸を作用させることで抑制されることを確認した。さらに、マウスにω3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含む食餌を経口摂取させることで、皮下移植腫瘍の増殖抑制効果を確認した。これらの結果から、ω3系多価不飽和脂肪酸の経口摂取によって、膵癌患者の治療に貢献できる可能性が示唆される。
原著
  • 北村 洋子, 甲原 芳範, 中野 広美, 飯塚 升美, 中村 朋子, 大屋 ジュリエッタゆり, 管 聡
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1085-1089
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】退院後早期再入院に影響を与える因子を検討する。
    【対象及び方法】佐賀関病院を2005年8月から2006年7月までの期間に退院した患者286例を対象とした。37人 (12.9%) が退院後30日以内に再入院し (早期再入院群) 249例は入院しなかった (コントロール群) 。両群の患者背景をレトロスペクティブに検討した。
    【結果】両群間の比較では退院時血清アルブミン値、認知症、糖尿病、心不全、脳血管障害などの疾患の有無、自宅への退院、過去1年間の入院歴で両群間に有意差を認めた。多変量解析では退院時血清アルブミン値が早期再入院の独立した危険因子であった。
    【結論】退院時血清アルブミン値は早期再入院のリスク因子である。
施設近況報告
  • 前畑 聡子, 濱田 康弘, 三ヶ尻 礼子, 西尾 基, 田中 健太, 生田 智子, 山本 麻里, 妹尾 つゆ子, 戸田 明代, 宇佐美 眞
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1091-1095
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    神戸大学医学部附属病院では、低栄養に加えて電解質異常の管理も重要であるとの観点からNutrition & Electrolyte Support Team (NEST) として活動している。他方、急増する末期腎不全の予備軍としてChronic Kidney Disease (CKD) という概念が注目されている。本研究ではNEST回診の対象症例における電解質異常の現状を明らかにするため、CKD stage別に電解質異常の頻度を解析した。NEST対象症例には一般人口に比較して腎機能低下例が多く、それに伴い電解質異常の頻度が増加した。腎機能低下例では、高カリウム血症、低カリウム血症、高リン血症をきたしやすく、腎機能非低下例に対するオッズ比はそれぞれ2.196、2.928、10.01と高かった。そのため電解質異常も視野に入れた栄養管理をする必要があると考えられた。
  • 森田 幸一, 吉見 猛, 木津 純子
    2009 年 24 巻 5 号 p. 1097-1102
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/20
    ジャーナル フリー
    【目的】各施設におけるNST活動が活発化しているが、その活動実態は種々である。各施設におけるNST活動の実態について全国調査し、今後薬剤師がNST内で担うべき役割について検討する。
    【対象及び方法】2007年7月―8月、NST稼動施設 (983施設) のNST活動に関与している薬剤師を対象に、回診の内容、NSTの活動内容や問題点、薬剤師の役割などについてアンケート調査を行った。
    【結果】670施設から回答が得られた。99%以上の施設でNST活動に薬剤師が参加し、回診にも参加していた。薬剤師は栄養療法や、患者と接することに重点を置いて活動していた。NST活動において薬剤師が担うべき役割は、栄養療法の中でも、特に静脈経腸栄養における処方設計への積極的な関与であることが確認された。
    【結論】NST活動で薬剤師が活躍するには、静脈経腸栄養に関する薬剤師のための実践的なマニュアルを構築することが重要である。
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