2009 年 24 巻 6 号 p. 1183-1190
輸液フィルターの必要の是非が論じられてから久しい。不溶性異物による生体への有害反応が証明されているにもかかわらず、本邦臨床においてはコストとの関連を理由に輸液フィルターを使用しないで輸液療法 (栄養・薬物療法) が行われている場合も未だ見受けられる。本稿では不溶性微粒子による注射剤汚染の現実を通して日本薬局方の矛盾点並びに調製された輸液の不溶性微粒子汚染とそれらが静脈内投与された場合の体内分布についての検討結果を踏まえて輸液療法時のリスクマネジメントとしての輸液フィルターの必要性について述べる。