静脈経腸栄養
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脂質
江崎 治
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2010 年 25 巻 3 号 p. 783-787

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抄録

脂質の摂取基準では目安量と目標量を用いる。目安量はn-6とn-3系多価不飽和脂肪酸 (必須脂肪酸であるため体内で合成できず、欠乏すると皮膚炎などが発症する) に対して、目標量は生活習慣病 (糖尿病、冠動脈疾患、ガン、脳卒中、メタボリック症候群など) の予防のため、総脂肪、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸、コレステロール]に対して用いられている。
必須脂肪酸としてのn-6とn-3系脂肪酸の摂取量 (目安量) は、日本人摂取量の中央値を用いる。摂取するn-6系脂肪酸の98%はリノール酸で、n-6系脂肪酸とリノール酸はほぼ同一に扱うことができるが、n-3系脂肪酸に関しては、α-リノレン酸(摂取するn-3系脂肪酸の約60%)のみを必須脂肪酸として扱うことはしていない。
生活習慣病の中でも、現在問題となっている糖尿病と脳卒中の予防に重点が置かれている。例えば、飽和脂肪酸の摂取量が多いと太り易く、糖尿病に罹患し易くなるが、逆に少ないと脳出血になり易くなる。このため、適度な摂取量が摂取基準値 (4.5~7%E) として範囲で示してある。
又、肥満者に於ける脂肪エネルギー比率についても言及し、心筋梗塞の予防に関してはEPA及びDHAの摂取が強調されている。

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© 2010 日本静脈経腸栄養学会
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