抄録
肝硬変ではインスリン抵抗性、肝細胞障害および肝細胞絶対数の減少などにより、肝における糖の取り込みが制限され、その結果グリコーゲンの蓄積が十分行えない。このため、たった一晩の絶食でも、早朝空腹時には肝臓からの糖の供給が減り、各組織では糖を利用できなくなる。また、食後には肝臓に糖が取り込めないために、著明な食後高血糖を示す。これらの状態を改善するためには、少量頻回食が有効である。特に、総摂取カロリーを一定にした場合には、夜間就寝前の軽食(late evening snack:LES)は、早朝の飢餓の時間を減らすだけでなく、血糖のコントロールも改善する。最近では、夜食として分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤の使用、αグルコシダーゼ阻害剤の併用などの工夫も試みられている。また、BCAAはインスリン抵抗性の改善、癌発症予防などにも効果があることが認められ、今後さらなる応用が期待される