静脈経腸栄養
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原著
PEGが予定される水頭症症例に対するVPシャント術の工夫
篠田 正樹藤井 本晴村形 敦石川 陵一青木 光広青木 和裕長谷川 由美柳父 香澄飯田 正子鈴木 園子
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2011 年 26 巻 3 号 p. 985-990

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抄録

【目的】水頭症に対するVPシャント術後にPEGが施行され、シャント感染を呈する報告が多い。その合併症を回避するために、腹腔内シャント挿入部とPEG予定部位との距離を長くする試みをした。【対象および方法】2008年5月以降に聖路加国際病院脳神経外科に入院した成人正常圧水頭症症例で、VPシャント術施行時に、嚥下障害・遷延性意識障害を認め術後に長期経管栄養投与が必要と思われ、将来のPEG造設が必要とされたくも膜下出血9例、脳内出血2例、特発性正常圧水頭症1例、計12例を対象とした。シャントシステムは前角穿刺法により行ない、一側下腹部に横切開を加えシャント管を挿入した。【結果】特発性水頭症1例を除く11例で画像上水頭症の改善を認めた。早期合併症として閉塞などは認めなかったが、2例で脳室側機械的閉塞、シャント管逸脱による皮下のう胞を認め、再建術を必要とした。12例中、PEGを施行した患者は3例であったが、特にシャント機能不全・感染は認めていない。【結論】水頭症VPシャント術後症例に対するPEGはシャント感染を惹起するとの報告が多いが、胃瘻部位とシャント挿入部との距離を隔てる工夫により合併症の発生を少なくする効果が得られた。

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© 2011 日本静脈経腸栄養学会
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