静脈経腸栄養
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症例報告
在宅中心静脈栄養導入3年でセレン欠乏により多様な臨床症状を呈した1例
伊藤 明美水落 雄一朗嘉村 由美子太田 美穂竹山 廣光祖父江 和哉
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2011 年 26 巻 3 号 p. 991-995

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抄録

本邦において入手できる微量元素製剤にはセレンが含まれていないため、在宅中心静脈栄養 (Home Parenteral Nutrition;以下HPNと略) 管理中にセレン欠乏症を起こす危険性は少なくない。今回、HPN管理開始3年でセレン欠乏症を発症し、これまでに報告のない毛髪形態変化 (巻き毛) をはじめ多様な臨床症状を呈し、院内セレン製剤の投与により一定の症状改善をみた症例を経験した。セレン欠乏症による臨床症状は、重症化すると不可逆となる可能性があり、その予防には臨床症状の慎重な観察とセレン値の定期的なモニタリングが必要である。

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© 2011 日本静脈経腸栄養学会
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