抄録
腎疾患では、体液量・血圧・電解質・酸塩基平衡・脂質代謝の異常、体タンパク崩壊や低栄養が起きやすい。また保存期 (透析導入前) と末期腎不全期 (透析・腎移植) では、栄養療法の目的・内容が異なり、腎代替療法 (透析・腎移植) によっても栄養状態や投与栄養量が異なる。いわゆる「腎疾患用」経腸栄養剤は、タンパク質・カリウム・リン・食塩・水分を制限した内容で、腎不全進行の抑制や尿毒症症状の改善に有用だが、内容に偏りがあり、長期使用・単剤使用では電解質異常や低栄養を生じる可能性があり、必ず定期的モニターを行い、病態に応じて食事や他の経腸栄養剤、経静脈栄養との併用も必要である。