抄録
脳血管障害の栄養管理の目的は、現存する低栄養の治療と、今後低栄養に陥る危険のある患者の発症予防の2点である。脳血管障害の栄養管理の特徴として、嚥下障害、運動麻痺などの機能障害が栄養状態悪化につながること、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常など、複数の併存疾患を抱える高齢の患者が多いこと、病態・病期の変化に応じて、投与経路や栄養投与量を経時的に見直す必要があることが挙げられる。脳血管障害患者の経腸栄養剤の選択は、病態別経腸栄養法の“応用問題”的な側面があり、適切な栄養療法の実施と栄養療法の合併症への対応は、患者の生命予後・機能予後を改善する可能性がある。