静脈経腸栄養
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特集
褥瘡
田中 芳明石井 信二浅桐 公男
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2012 年 27 巻 2 号 p. 703-710

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抄録

褥瘡の治癒過程には多くの栄養素が関与している。炎症期でのタンパク質欠乏は、炎症を遷延化させる。増殖期でのタンパク質や亜鉛欠乏は線維芽細胞の機能を低下させる。また、銅やビタミンA、Cの欠乏によりコラーゲン合成機能の低下が起こる。褥瘡の治療では、炎症期から増殖期に速やかに移行させることが肝要である。このため、特に褥瘡の背景にある炎症を早期に改善させることが治癒促進を加速させる。すなわち、エネルギーやタンパクの投与量のみでなく、タンパク合成能の改善や創傷治癒に必須となる栄養素や抗炎症効果を促す栄養素の投与組成を考慮した栄養管理が重要である。また炎症を助長するアルギニンや鉄の摂取 (投与) に関しては、十分に配慮するべきである。適切な栄養管理の結果として、タンパク合成能および脂質代謝が改善され、早期に褥瘡の治癒が得られる。タンパク質、アミノ酸や脂質、微量元素、ビタミンなど主要な栄養素についての知見を示し、病態に応じた栄養剤の使用について概説する。

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© 2012 日本静脈経腸栄養学会
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