静脈経腸栄養
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原著
血清アルブミン値を計算に用いる臨床的栄養指標の問題点
測定法改良による指標値の乖離
橋本 儀一片山 寛次井村 敏雄黒瀬 知美北山 富士子早瀬 美香立平 宏美斎木 明子大中 博晶木村 秀樹
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2013 年 28 巻 5 号 p. 1091-1099

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抄録
【目的】血清アルブミン値を計算に使う代表的な臨床的栄養指標について、BCG法および改良型BCP法の2種類の血清アルブミン測定法を用いて、クラス分類にどのような影響を及ぼすかを検討した。【方法】本学においてAlb測定法変更時 (2009年2月10日~2009年3月31日) にBCG法および改良型BCP法を同時測定した入院・外来を含む延べ7,891検体を対象とした。栄養指標は小野寺のprognostic nutritional index (PNI) 値、Controlling Nutritional status (CONUT) 値、がん悪液質の指標であるGlasgow Prognostic Score (GPS)、三木らの分類で、各指標の基準に基づいて群分けし評価した。【結果】Alb値を2法により計算した各栄養指標のクラス分類は次のような特徴を示した。小野寺のPNI値は、改良型BCP法による分類にて栄養障害のある群が7%上昇していた。CONUT値は、中等度以上の栄養障害群が改良型BCP法による分類にて5%上昇していた。GPSでは、改良型BCP法による分類でがん悪液質を示すclass2群が5%上昇した。また、三木らの分類においても、改良型BCP法によるがん悪液質群が8%上昇した。これらの上昇は統計学的に有意なものであった。【考察】改良型BCP法による各臨床的栄養指標は、BCG法に比べ高度な低栄養群やがん悪液質群をより分類できるものと考えられた。今後、各施設の改良型BCP法採用率上昇とともに、研究者はAlb値がどの方法によって測定された結果を用いているかを確認する必要があり、学会等で報告する場合にも明確にしなければならない。また、改良型BCP法が完全にAlb測定法のスタンダード法となりつつある現状をふまえ、各栄養指標の群分け識別値についての再検討が必要であると考える。
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© 2013 日本静脈経腸栄養学会
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