静脈経腸栄養
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特集
患者と家族のQOLを考慮したPEGを考える
―“to PEG or not to PEG”が“to be or not to be”である苦悩―
丸山 道生
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2014 年 29 巻 3 号 p. 819-824

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抄録

 摂食・嚥下障害患者にとって、人工的水分・栄養補給(AHN)を行う場合、その多くはPEGが第一選択となる。特に適応上議論のある認知症に関して、欧米では医学的観点からもPEGの効果は認められないとされ、合理的にPEGの適応はないことが導き出されている。しかし、本邦ではPEGは生存も効果も良好であるゆえに、AHNをすると意思決定した場合は、PEGをして長く生きることを、一方、AHNを選択しない場合はPEGを施行せず、早く死ぬことを意味する。その意思決定はより哲学的な問題で、PEGによるQOLの考慮は副次的なものでしかない。医療者・介護者の役割は、患者と家族のPEG選択への苦悩を軽減させること、そして、患者がPEGとそれに続く胃瘻栄養を行った時に、患者と家族のQOLを向上させ、患者の人生の物語を豊かにするのを応援することである。

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© 2014 日本静脈経腸栄養学会
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