抄録
腸が機能している場合には腸を使用するという考え方が浸透し、経腸栄養は多くの疾患で施行されている。クローン病では、経腸栄養は原疾患の寛解導入・寛解維持療法として重要な治療法である。抗TNF-α製剤や免疫抑制剤との使い分けや併用方法が課題であり、治療成績のみならず、QOLの観点からの評価も重要である。また、頭頸部腫瘍や進行性の神経疾患である筋委縮性側索硬化症においては、経腸栄養は生命予後を左右する必須の栄養法として位置づけられており、経腸栄養によりQOLが向上することが明らかにされている。これらの疾患では、経管栄養を開始する時期、施行する方法などについて、QOLを含めて総合的に評価することが重要である。