静脈経腸栄養
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特集
サルコペニアと栄養療法
高齢者の栄養状態とQOL
若林 秀隆
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2014 年 29 巻 3 号 p. 837-842

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抄録

 サルコペニアの定義は、狭義では加齢による筋肉量減少、広義ではすべての原因による筋肉量減少、筋力低下、身体機能低下となる。成人低栄養の原因である飢餓、侵襲、悪液質は、すべて二次性サルコペニアの原因でもある。つまり、高齢者で低栄養を認める場合、二次性サルコペニアのことが多い。高齢者では低栄養とQOLに関連を認め、栄養改善で身体的QOLと精神的QOLを改善できる。サルコペニアとQOLの関連も示唆されるが、サルコペニアの改善によるQOL改善のエビデンスは乏しい。
 サルコペニアに対する栄養補給は、高齢者の筋肉量と筋力を改善させる。ただし臨床現場では、広義のサルコペニアの原因である加齢、活動、栄養、疾患の有無をそれぞれ評価したうえで対処する。サルコペニアの原因によって、レジスタンストレーニングの可否や栄養療法の内容が異なるからである。サルコペニア対策では、リハビリテーション栄養の考え方が有用である。

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© 2014 日本静脈経腸栄養学会
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