2020 年 56 巻 1 号 p. 182-187
肺高血圧症(PH)を合併した重症新生児慢性肺疾患(CLD-PH)児に対し非侵襲的一酸化窒素吸入療法(non-invasive iNO)を施行した超早産児例を報告する.症例は在胎25週4日,体重836gで出生の男児.日齢59(修正34週0日)に人工呼吸器管理から離脱したが,生後7カ月と11カ月にPHが増悪したためSiPAP使用下にiNOを2回実施した.1回目の治療反応性は良好でiNOを中止できたが,2回目はiNOから離脱困難で精査の結果,気管軟化症を確認した.1歳3カ月に気管切開を行い在宅人工呼吸管理下に1歳7カ月で退院した.non-invasive iNO治療中に測定した環境のNO/NO2濃度は,患児から40cm以上離れた場所ではほぼ検出されなかった.non-invasive iNOはCLD-PHの急性増悪時に有効で安全に実施可能であった.さらに,重症CLD-PHでは気道病変を念頭に置き早期の評価介入を検討すべきである.