日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
産科的医療介入が重度の右心不全を助長しTerminationを余儀なくされたと考えられるファロー四徴症術後合併妊娠の一例
須田 尚美津田 さやか生水 貫人草開 妙山田 清貴田中 智子米田 徳子塩﨑 有宏米田 哲
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2020 年 56 巻 1 号 p. 188-192

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抄録

 今回,母体の心不全発症リスクは低いと予想されていた先天性心疾患合併妊娠であったが,全前置胎盤,切迫早産管理中に心不全を生じ,terminationせざるを得なかった症例を経験した.症例は,ファロー四徴症根治術の既往がありNYHA I度の状態で自然妊娠.全前置穿通胎盤の疑いが強く,管理入院とし,自己血貯血を行った.また,切迫早産と診断した妊娠28週より硫酸マグネシウム(MgSO4)によるtocolysis開始,妊娠29週にステロイド投与を行ったところNYHA IV度の右心不全となり,母体適応による緊急帝王切開術を施行した.MgSO4による心負荷,ステロイドによる水貯留作用,自己血貯血による貧血等が右心不全を助長したと考えられた.先天性心疾患術後妊娠管理中に産科的医療介入が必要な場合,その必要性とリスクを十分に考慮し,厳重な対策下に治療を行うべきである.

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© 2020 日本周産期・新生児医学会
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