2020 年 56 巻 3 号 p. 437-444
当施設で2014年から2018年に羊水検査を行った109例のうち,検査後1週間以内に分娩に至った36例を対象に,羊水IL-6値と羊水顆粒球エラスターゼ定性検査(陰性,陽性,強陽性),母体血中CRP値と組織学的絨毛膜羊膜炎(hCAM)の重症度との関連を検討し各因子の重症hCAMの予測診断能を比較した.軽症群(Stage I以下)と重症群(Stage II−III)の比較においてIL-6とエラスターゼでは有意差を認めたがCRPは有意差を認めなかった.重症hCAMの推定におけるIL-6(カットオフ値19,705pg/mL)の感度/特異度/正診率は100%/72.7%/91.7%,エラスターゼは(カットオフ:強陽性)80.0%/63.6%/75.0%で,両検査の一致率は83.3%,Kappa係数は0.613だった.IL-6とエラスターゼはともにStage II以上のhCAMの予測に有用で,その相関も高かった.