2020 年 56 巻 3 号 p. 445-450
海外では最近新生児を対象とした周術期管理のガイドラインが登場したが,国内における小児領域の周術期管理についての報告は少ない.そこで本研究では,2013年から2019年の間に当院で人工肛門閉鎖術を行った低出生体重児を対象とし,周術期管理および治療成績の現状について,診療録の記載から後方視的に検討した.症例は19例,人工肛門閉鎖時の体重は1,530g(1,322-1,815g)であった.予防的抗菌薬は8日間(6-11日間)投与された.手術部位感染(SSI;Surgical Site Infection)の発生率は37%,腸閉塞などの合併症は79%,何らかの合併症が89%で認められた.経腸栄養は術後9日目(8-9.5日目)に開始された.これらの結果から周術期管理の課題として,最適なSSI予防方法,抗菌薬投与期間,早期経腸栄養開始の確立などが挙げられた.