日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
産褥3日目に突然生じた強直間代性痙攣を契機として,てんかんの初発診断に至った一例
青山 茉利香山下 有加前田 雄岳小松 玲奈西 健安藤 智大槻 克文
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 56 巻 3 号 p. 463-467

詳細
抄録

 【症例】35歳,1妊0産.タクロリムス投与下に凍結胚移植により妊娠成立.妊娠10週に当院紹介.妊娠中と分娩時に合併症なく,妊娠38週で2,564g,男児を経腟分娩した.産褥3日目,突然の血圧上昇を示した直後,眼球上転,嘔吐を契機に強直間代性痙攣を生じた.チアノーゼ,呼吸停止を認め,気道確保を行い人員を集めた.ジアゼパム投与後に子癇発作,痙攣再発予防の治療を開始し,他疾患の鑑別を行った.脳波検査より,てんかんの診断に至り,抗てんかん薬を導入の上分娩後13日目自宅退院となった.分娩後マタニティブルーや母乳育児支援でフォローをおこなった.

 【結論】分娩産褥期に初発の痙攣発作をみた際には迅速な初期対応を可能とする体制整備と産科疾患のみにとらわれない鑑別をおこなうことが重要である.てんかんと診断した場合には治療コンプライアンスを維持する患者教育,母乳育児支援,メンタルヘルスへの配慮が重要なポイントとなる.

著者関連情報
© 2020 日本周産期・新生児医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top