日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
社会的支援を要する家庭に対し地域支援機関と継続的に連携することで自宅退院にいたった鎖骨頭蓋異形成症の1例
林 藍木下 大介西村 陽
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2021 年 57 巻 1 号 p. 152-157

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抄録

 鎖骨頭蓋異形成症(Cleidocranial dysplasia:以下CCD)は,鎖骨低形成,頭蓋骨縫合骨化遅延,歯牙萌出遅延を特徴とする比較的稀な骨系統疾患である.我々は,在胎39週,出生体重2,272gで出生し,鎖骨低形成と広範囲な頭蓋骨欠損を呈し,RUNX2の翻訳領域を含む6番染色体の微細欠失を認め,CCDと診断した1例を経験した.両親は精神疾患を合併し,育児支援者はおらず,社会的支援を要する家庭環境であった.退院後の養育環境を整備するため,妊娠中から児の退院まで,地域支援機関との多職種カンファレンスを複数回実施した.継続的に地域支援機関と連携し,育児支援体制を構築することで,生後4カ月時に自宅退院にいたった.社会的支援を要する家庭に対し,妊娠中から継続的に地域支援機関と連携し,育児支援体制を整えることは,CCDといった養育上特別な配慮を要する児に対しても虐待防止の観点から有用であった.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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