日本周産期・新生児医学会雑誌
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Print ISSN : 1348-964X
症例報告
帝王切開分娩後に症状が劇的に改善した特発性脳脊髄液減少症の1例
林 魅里藤原 ありさ田浦 裕三子杉浦 多佳子松本 恵蓮尾 泰之
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2021 年 57 巻 1 号 p. 209-214

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抄録

 妊娠後期に特発性脳脊髄液減少症を発症した1例を経験した.39歳,G1P0,妊娠33週4日に突然の強い頭痛で発症し,入院管理した.臨床症状から脳脊髄液減少症と診断し保存的治療を行った.症状は改善せず,妊娠38週2日に硬膜外麻酔下での帝王切開分娩を行った.硬膜外麻酔時に一時的な呼吸抑制をきたし,術後の頸椎単純MRI検査でC7付近に硬膜穿孔を疑う所見を認め,診断を確定した.児は3,006gの女児で,Apgarスコア1分後8点,5分後9点であった.母体は術後1日目に頭痛が軽快し,育児に支障なく退院した.同疾患の妊娠合併例での管理に具体的な指針はなく,保存的治療で改善しない場合は症例毎に治療方針を検討し,選択することが必要である.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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