2021 年 57 巻 1 号 p. 98-102
切迫早産の妊婦に対して頻用されるリトドリン塩酸塩錠が胎動に及ぼす影響を胎動計(Fetal movement acceleration measurement recorder)を用いて検討した.2010年4月から2019年8月までに帝京大学医学部附属病院で分娩した171例(服用群65例,非服用群106例)の単胎妊娠を対象とした.妊娠28週以降,週に1回自宅で夜間の胎動を測定した.前期(妊娠28-31週)と,後期(妊娠32-35週)に分け,両群間で,胎動占有率を比較した.胎動占有率は,前期では服用群18.84±9.06%,非服用群17.33±7.92%(p=0.90),後期では服用群13.87±5.52%,非服用群14.64±6.94%(p=0.15)と両時期とも有意な差は認められなかった.リトドリン塩酸塩錠の投与は胎動の発生頻度に影響しないことが明らかとなった.