日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
教育講演
妊娠高血圧症候群の病因,病態からみた,予知,予防,治療法
齋藤 滋
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2022 年 57 巻 4 号 p. 596-599

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抄録

 妊娠高血圧症候群(HDP)の中で,特に妊娠高血圧腎症(Preeclampsia:PE)は,母子ともに予後が不良であり,世界的にみると毎年7万人の母体死亡,50万人以上の新生児死亡を引き起こしている1).さらに,PEを発症した女性や,出生した子供が将来,高血圧,腎疾患,脳血管障害を引き起こすリスクが高くなることが知られており,生涯にわたり管理する必要がある.日本の研究者はよくHDPという用語を使用するが,海外では,妊娠高血圧(GH)はPE発症リスクの高い疾患として理解されており,PEの病因,病態,予知,予防法,治療法が主に研究されている.そのため,HDPを対象とした論文は少なく,多くの論文は最も予後が悪いPEを対象としたものである.このあたりの意識の違いは,日本では主に病因・病態が重要視されてきたが,欧米では予後が重要視されてきたことによる.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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