日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
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新生児領域における新型コロナウイルス感染対策
森岡 一朗
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2022 年 58 巻 2 号 p. 226-232

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抄録

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は,世界中に大流行し,周産期や新生児医療に大きな影響を与えた.本稿では,SARS-CoV-2感染妊婦から出生した新生児における生後早期のSARS-CoV-2検査陽性率,胎内感染,新生児の多系統炎症症候群,出生後の感染対策・検査,新生児の隔離方法,母乳栄養,新生児の隔離解除基準,面会制限および退院場所についての現状をまとめた.出生後の新生児のSARS-CoV-2検査陽性率は非常に低く,およそ2〜3%程度である.2022年6月現在(第6波時),わが国ではSARS-CoV-2は指定感染症としての対応がとられ,出生直後の母子同室管理や直接授乳は行われていない現状が続いている.しかし,SARS-CoV-2感染のハイリスク場所である病院という状況をよく理解し,適切な感染対策を行いながら,周産期新生児医療もSARS-CoV-2流行前は行っていた母子同室管理や母乳栄養などの通常の医療やケアに戻していくことを検討していく必要があろう.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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