2022 年 58 巻 2 号 p. 245-249
[目的]Late preterm以降の妊娠高血圧症候群(HDP)合併妊娠における陣痛誘発症例の分娩転帰と母児の合併症の頻度を明らかにする.
[方法]妊娠34週以降に分娩したHDP合併単胎妊娠で,陣痛誘発を行った症例を対象とした後方視的コホート研究である.帝王切開(CS)の頻度,分娩中の血圧重症化の頻度,産褥1カ月までの母体合併症と新生児合併症の頻度を検討した.
[結果]対象は136例であった.分娩中に血圧軽症域の17例(24%)が重症域に,重症域の5例(9%)が高血圧緊急症となった.CSは39例(29%)であり,初産婦と経産婦のCS率はそれぞれ40%,6.1%であった.母体合併症は2例(1.5%)で,胎盤早期剥離と子癇発作がそれぞれ1例であった.新生児合併症はなかった.
[結論]初産婦の6割,経産婦の9割が経腟分娩となり,母児の短期予後は良好であった.