日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
18トリソミーと脊髄髄膜瘤を合併した2症例の診療
大多尾 早紀岸上 真中田 有紀片山 義規中後 聡山中 巧原田 敦子
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2022 年 58 巻 2 号 p. 374-379

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抄録

 18トリソミーと脊髄髄膜瘤を合併し,胎児期よりご家族と話し合い診療方針を決定した2例を報告する.症例1:児は胎児期に18トリソミー・脊髄髄膜瘤・心室中隔欠損症を指摘され,ご家族は緩和ケアを希望した.在胎38週1日,体重1,978gで出生,日齢0に脊髄髄膜瘤に対し皮膚縫合のみ行った.その後児と過ごす中,ご家族は集中治療を希望し,髄膜瘤修復術・肺動脈絞扼術・気管切開術・心内修復術を施行し,1歳1カ月で退院した.症例2:児は胎児期に18トリソミー・脊髄髄膜瘤・臍帯ヘルニア・心室中隔欠損症を指摘され,ご家族は集中治療を希望した.在胎38週0日,体重1,348gで出生,日齢0に髄膜瘤修復術を行った.呼吸・水頭症増悪の懸念はあったが自宅で過ごすことを優先し,生後4カ月で退院した.脊髄髄膜瘤と18トリソミーの合併例では,児と家族が最善の時間を過ごすため柔軟に方針を選択していくことが重要である.

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© 2022 日本周産期・新生児医学会
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