日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
ビタミンK欠乏による胎児期発症頭蓋内出血を契機に点状軟骨異形成症と診断した一例
林 藍木下 大介田邉 裕章砂田 真理子西村 陽
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2022 年 58 巻 2 号 p. 414-419

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抄録

 点状軟骨異形成症(chondrodysplasia punctata,CDP)の原因として,遺伝子異常以外にビタミンK(以下,VK)欠乏との関連が認識されている.今回VK欠乏による胎児期発症頭蓋内出血を主訴に入院し,後にCDPと診断した一例を経験したので報告する.CDPについてもVK欠乏の関与が疑われた.症例は38週,2,983g,重症新生児仮死で出生した男児.母体に基礎疾患や薬剤使用は認めなかった.出生時に頭蓋内出血を認め,PT,APTTの延長,PIVKA-IIの上昇を認めたため,VK欠乏症と診断した.さらに鼻根部平坦といった顔貌の特徴を認め,単純X線写真で脊椎周囲,大腿骨近位端周囲の点状石灰化を認めたことより,末節骨短縮型CDPと診断した.CDPについても,VK欠乏がその原因と考えられた.胎児期のVK欠乏を認めた場合にはCDPについても鑑別に挙げ,精査をすすめることが肝要である.

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