2023 年 59 巻 1 号 p. 72-76
当院におけるCOVID-19合併妊婦の経腟分娩を経験したため報告する.当院では2020年3月のCOVID-19流行初期よりCOVID-19合併妊産婦を受け入れてきた.2022年2月までに計74例の入院管理を行い,隔離期間にある妊婦のうち経腟分娩16例,帝王切開7例の計23例の分娩を取り扱った.隔離解除基準や流行状況の変遷とともに症例経験を蓄積し,入院管理や分娩の取り扱い方針も改良を重ねた.隔離期間中に分娩に至る可能性の高い症例に対しては,安全管理の観点から分娩時期や分娩様式について慎重に検討を重ねた.経産婦においては分娩誘発を実施することで,短時間での経腟分娩が可能であると予測し,分娩誘発による計画分娩を実施し,これを安全に取り扱うことができた.COVID-19合併妊婦に対しても,感染防御に配慮した施設環境や人員配置,関係各所との連携を行うことで安全な経腟分娩が実施できると考える.