日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
血清クレアチニン値は超低出生体重児における慢性腎臓病の早期発見の指標となるか?
瀬戸上 貴資太田 栄治伊東 和俊小寺 達朗音田 泰裕川野 裕康新居見 俊和永光 信一郎
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2023 年 59 巻 2 号 p. 219-226

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抄録

 超低出生体重児(ELBWI)に合併する慢性腎臓病(CKD)の早期発見に小児CKDステージアルゴリズムを活用した血清クレアチニン値(sCr)が有用であるかを後方視的に検討した.生存退院した132例のELBWIを対象とし,3歳,6歳,9歳健診でsCrおよびsCrに基づく推定糸球体濾過量(eGFR)を評価し,腎機能障害をsCr,eGFRそれぞれで評価した.全例においてsCrよりもeGFRで腎機能障害の検出率が高く,3歳健診時での検出率は,sCrで17例(18%),eGFRで29例(30%)であった.一方,後にCKDの診断に至った4例(3%)すべてが3歳時のsCrとeGFRともに腎機能障害基準を満たしていたが,1例では6歳以降にsCrは基準域を示していた.本研究は,ELBWIにおける腎機能のモニタリングの重要性と,CKDの早期指標としてのsCrの潜在的価値を示唆している.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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