2023 年 59 巻 2 号 p. 219-226
超低出生体重児(ELBWI)に合併する慢性腎臓病(CKD)の早期発見に小児CKDステージアルゴリズムを活用した血清クレアチニン値(sCr)が有用であるかを後方視的に検討した.生存退院した132例のELBWIを対象とし,3歳,6歳,9歳健診でsCrおよびsCrに基づく推定糸球体濾過量(eGFR)を評価し,腎機能障害をsCr,eGFRそれぞれで評価した.全例においてsCrよりもeGFRで腎機能障害の検出率が高く,3歳健診時での検出率は,sCrで17例(18%),eGFRで29例(30%)であった.一方,後にCKDの診断に至った4例(3%)すべてが3歳時のsCrとeGFRともに腎機能障害基準を満たしていたが,1例では6歳以降にsCrは基準域を示していた.本研究は,ELBWIにおける腎機能のモニタリングの重要性と,CKDの早期指標としてのsCrの潜在的価値を示唆している.