日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
新生児医療におけるシミュレーション基盤型教育のニーズと実情に関する調査
甘利 昭一郎伊藤 裕司
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 59 巻 3 号 p. 372-380

詳細
抄録

 本邦の新生児医療におけるシミュレーション教育の現状とニーズとを,指導者側と学習者側との双方の視点から調査した.全国の新生児認定施設の教育担当者への質問紙調査と卒後10年目以下の医師へのWebアンケート調査とを行い,それぞれ206施設(回収率44%),101名からの有効回答を得た.指導者側と学習者側のそれぞれ95%,84%が,総合的に考えてシミュレーション教育は「非常に有益」または「やや有益」と回答した.しかし,実際に広く行われているシミュレーション教育は気管挿管,人工呼吸,胸骨圧迫,NCPRなどの一部のテーマに限られており,シミュレーション教育を幅広く行えない要因としてシミュレーターの不足や,時間・人手・資金といったコストの問題があることが分かった.本調査を踏まえ,新生児医療におけるシミュレーション教育の体制やプログラムを整備し,持続可能な形で普及させていくことが重要である.

著者関連情報
© 2023 日本周産期・新生児医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top