日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
完全大血管転位症修復術後妊娠の周産期予後:4症例(5妊娠)の検討
山本 萌子山中 美智子
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2023 年 59 巻 3 号 p. 387-391

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抄録

 [目的]完全大血管転位症(TGA)修復術後妊娠例で,周産期管理に重要な点を明らかにする.[対象と方法]2019年から2022年に当院で周産期管理を行ったTGA修復術後妊娠4例5妊娠の経過を,診療録から後方視的に検討.[結果]TGA修復術式は,心房位転換手術2例,動脈位変換術1例,Rastelli術1例2妊娠.妊娠前NYHAはII度が1妊娠,I度が4妊娠,妊娠前から薬物治療を要したのは3妊娠.4妊娠が正期産で分娩,NYHA II度の例は母体不整脈のため34週の早産となった.周産期合併症は1,800mLの分娩時異常出血2妊娠(同一症例)と,-1.5SDのSGAが1妊娠.体心室が右室の例は妊娠中期での管理入院と,集学的治療を要し,左室の例は心機能は保たれた.[結語]術後の体心室の違いにより周産期の心機能や合併症が異なる.各診療科との連携が重要で,特に体心室が右室の例はより慎重な管理が必要である.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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