日本周産期・新生児医学会雑誌
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Print ISSN : 1348-964X
症例報告
NAVAでのモニタリングが診断と呼吸管理に有用であったPrader-Willi症候群の一例
中村 奈見森 麻里竹下 覚垣田 博樹山田 恭聖
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2024 年 60 巻 1 号 p. 151-154

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抄録

 Prader-Willi症候群(PWS)は新生児期に筋緊張低下を示す先天性疾患であるが,呼吸障害をきたす症例は稀である.今回われわれは新生児期に努力呼吸を伴わない呼吸障害を呈し,神経調節補助換気(NAVA)での横隔膜活動電位(Edi)のモニターが診断と呼吸管理に有効であったPWSの一例を報告する.症例は在胎40週2日,出生体重2,678gの女児で,Apgar Score 1分7点,5分8点で,出生時より筋緊張低下と酸素化不良で搬送された.呼吸障害は徐々に増悪し日齢8に人工呼吸管理となり,日齢19からNAVAを装着した.Ediは規則的で正常範囲内であり,徐々に低下し日齢34に抜管,さらに日齢54に呼吸器から完全に離脱できた.遺伝子検査で15q11-13の欠失がみられ,PWSと診断した.本症例ではEdiは規則的かつ正常範囲内であり,中枢性呼吸障害や神経筋疾患は否定的であり,PWSの診断につながった.EdiはPWSの診断と呼吸管理の指標に有効であると考えられた.

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