日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
副甲状腺ホルモン関連蛋白産生子宮筋腫合併妊娠の1例
林 佳奈加藤 雄一郎髙辻 典子反中 志緒理荒堀 憲二
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キーワード: hypercalcemia, pregnancy, fibroids, PTHrP
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2024 年 60 巻 2 号 p. 250-255

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抄録

 30歳女性,1妊0産.妊娠前より6cm大の子宮筋腫を指摘され,経過観察となっていた.胚移植で妊娠成立し妊娠7週で当院紹介受診となった.妊娠13週3日に悪阻症状のため入院となり,血液検査で血中Ca 16.0mg/dLと異常高値を認めた.インタクト-parathyroid hormone(PTH)低値,Parathyroid hormone-related peptide(PTHrP)および1, 25-ジヒドロキシビタミンD高値より,PTHrP産生腫瘍を疑った.画像検索を行ったが,悪性のPTHrP産生腫瘍を疑う所見は認めなかった.補液にて一時的に血中Caは改善傾向であったが,再度上昇し軽度腎機能障害も来した.子宮筋腫がPTHrP産生腫瘍であることを疑い,妊娠15週5日に腹式子宮筋腫核出術を行った.術後1日目にCaは低下,PTHrPは低下しており症状も改善し退院とした.病理組織学的検査結果は液状変性を伴った子宮平滑筋腫であり,免疫染色により子宮筋腫がPTHrP産生腫瘍であったと診断した.

 子宮筋腫がPTHrP産生腫瘍となることは稀であり,文献的考察を踏まえて報告する.

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