日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
二絨毛膜三羊膜品胎の絨毛を共有する児のうち,一子のみがSilver-Russell症候群の診断に至った一例
荒井 貴子森貞 直哉三村 仁美木原 智子金子 めぐみ窪田 詩乃松本 培世平久 進也洪本 加奈芳本 誠司船越 徹
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2025 年 61 巻 1 号 p. 174-179

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抄録

 Silver-Russell症候群(SRS)は胎児期や生後の発育不全,頭囲拡大,四肢の左右差などの特徴を持つインプリンティング異常症の1つで,その原因にはH19/IGF2 IG-DMRの低メチル化がある.今回絨毛を共有する児のうち一子のみがSRSの診断に至った品胎妊娠の一例を経験したため報告する.症例は33歳,1妊0産.自然妊娠.二絨毛膜三羊膜品胎の診断で妊娠13週より当院で管理を行った.妊娠21週より胎盤を共有する第二子,第三子に胎児発育不全を認め,妊娠30週子宮収縮抑制困難のため緊急帝王切開術を施行した.第二子の生後の発育経過,身体的特徴からSRSを疑い,メチル化解析により診断に至った.絨毛を共有する児の遺伝情報は原則同一であるが,本症例では第二子のみにSRSを発症しており,その機序についてエピ変異のタイミングによって起こった可能性と,二卵性一絨毛膜双胎である可能性の2つを考えた.

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