日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
当院で経験した2症例から考察する前置血管に対するMRI検査の有用性
鶴岡 佑斗髙橋 健佐村 修岡本 愛光
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2025 年 61 巻 1 号 p. 192-196

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抄録

 前置血管は血管断裂から胎児死亡を来す可能性があり,位置や走行の正確な把握が周産期管理で重要であるが,超音波検査では正確な評価が困難な場合がある.今回,MRI検査による正確な評価が周産期管理に有用であった2症例を経験した.

 症例1:30歳,1回経産婦.妊娠30週に経腟超音波検査で前置血管と診断したが,内子宮口からの距離の評価が困難であった.MRI検査で内子宮口から前置血管までの距離を正確に評価した上で,帝王切開術を選択し安全に周産期管理を行うことができた.

 症例2:26歳,3回経産婦.妊娠26週に経腟超音波検査で前置血管と診断した.血管走行評価目的にMRI検査を実施したところ,前置血管を含む5本の卵膜血管が子宮前壁を複雑に走行していた.この評価により血管損傷なく安全に帝王切開術を実施することができた.

 前置血管に対するMRI検査は,正確な位置と走行の把握を可能とし,安全な周産期管理につながる.

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