2025 年 61 巻 1 号 p. 93-99
背景:絨毛生検(以下,CVS)は適応が限定的であるため,実施施設が少なく,本邦における単一施設の多数症例のまとまった報告は少ない.目的:我々は当院で施行したCVSの653例について,検査法,検査適応,有害事象等について考察した.結果:染色体検査(G分染法,FISH)は590例(90.3%),遺伝子検査は284例(43.4%)に実施された.検査適応は多い順に,遺伝性疾患の家族歴315(48%),NT肥厚122(19%)等であった.染色体検査の結果は,正常核型424例,異常核型159例,培養不能5例,解析結果不明2例であった.異常核型は多い順に,21トリソミー 58例(36.5%),18トリソミー 41例(25.8%)であった.有害事象は6例(0.91%)でそのうち2週間以内の染色体疾患を伴わない妊娠喪失は4例(0.61%)であった.結論:当院においても安定的にCVSが実施できていることが確認された.