抄録
男子不妊外来受診者を母集団に小児期鼠径ヘルニア手術に伴う精管閉塞の頻度を検討し, 全体で27.3%, 片側鼠径ヘルニア手術では24%の高頻度に精管閉塞を認めた.小児鼠径ヘルニア手術の合併症として, 精管閉塞が高頻度に発生していることが推測された.精管閉塞15症例に対し顕微鏡下精管精管吻合術を施行し, 83%の再開通率を得た.手術時に確認した精管の閉塞状況は, 57%が内鼠径輪での閉塞であり, 小児外鼠径ヘルニア手術では, 特にヘルニア嚢の処理に際し精管を損傷しないように細心の注意が必要である.