日本小児外科学会雑誌
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出生直後に発症した血胸合併の縦隔神経芽腫の1例
雨海 照祥監物 久夫城 一也
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1993 年 29 巻 1 号 p. 155-159

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抄録

新生児期に発症する神経芽腫の初発症状は他臓器への浸潤に依り呼吸障害や哺乳障害,体重増加不良などの非特異的であることが多いが,出生時腫瘍の出血による患側の肺血管抵抗の上昇に伴う胎児循環遺残症 (PFC) に移行した報告は今までのところない.今回我々は,出生直後に縦隔原発の神経芽腫の被膜破裂により血胸を来し,出血性ショックと PFC に陥った1例を経験したので報告する.症例は在胎39週, 3,454gで出生した男児.生後45分より呼吸障害,全身蒼白をきたし当院に入院.画像で左胸腔内腫瘍と血胸の診断で,胸腔ドレーンを挿入しPFCに対して高頻度陽圧呼吸を行ったが生後22時間で死亡した剖検所見では Th2-3 の左傍脊椎部原発の後縦隔神経芽腫,腫瘍の組織学的亜型は花冠細線維型であり,病期分類はステージIIであった。

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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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