1993 年 29 巻 7 号 p. 1260-1265
下肢熱傷後に発症し,腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)にて切除し得た急性無石胆嚢炎の1例(8歳女児,体重29kg)を経験したので報告する.成人例と比較した場合の手術手技上の留意点として,以下の2点が考えられた.1)小児は成人に比して腹壁が柔らかく,気腹針およびトラカールの挿入に際しては注意を要した.2)炎症性変化の強い胆嚢管および胆嚢動脈の同定には,ワニロの把持鉗子に装着した Tupfer ガーゼを用いた鈍的な剥離が特に有用であった.術後の創痛や経ロ摂取の回復および離床の程度は従来の成人例と違いはなく,LC は成人例と同様に小児においても有用な術式と考えられた.