日本小児外科学会雑誌
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後縦隔及び副腎に多中心性発育を示した神経芽腫と考えられた1例
棚野 博文福澤 正洋岡田 正佐谷 稔太田 秀明松阪 正訓西田 勝虎頭 廉
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1993 年 29 巻 7 号 p. 1292-1297

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抄録
症例は1歳7ヶ月の女児で咳嗽,微熱にて発症.胸部単純レ線像にて右後縦隔に腫瘤陰影を認め,諸検査にて右後縦隔と左副腎部に多中心性発育を来した神経芽腫と診断した.化学療法を開始し,CT 及び超音波画像診断での腫瘍の大きさに変化を認めないものの,徐々に VMA, HVA, NSE 等の腫瘍マーカーの低下を認め, 99mTc-MDP 骨シンチにて初診時に認めた腫瘍組織への集積像の消失を来した.以上の臨床経過から腫瘍組織の成熟化と考え,4歳8ヶ月時に腫瘍摘出術を施行した.病理組織診にていずれも神経節腫と診断された.以上,後縦隔及び副腎に多中心性に発生した神経芽腫が化学療法により神経芽腫へ成熟化したと考えられる1症例を経験したので報告する.
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© 1993 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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