1993 年 29 巻 7 号 p. 1334-1338
仙尾部奇形腫の再発防止のためには尾骨を含めた腫瘤の完全摘出が重要で,それを行っても再発症例は認められる. Altman II 型の仙尾部奇形腫摘出後18年目に,骨盤内腫瘍として再発し,臀部痛を訴え来院した18歳の女性例を経験した.骨盤腔全体を占める25X15X15cm 大の嚢胞状の腫瘤で,その形態は腸管に類似していた.内部に石灰化を含んだ7X3cm のポリープを認めた.成熟型仙尾部奇形腫の再発と診断された.摘出術後1年11ヵ月の現在,再発なく健在である.仙尾部奇形腫は良性でも長期間の経過観察が必要である.