日本小児外科学会雑誌
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1歳未満で診断された神経芽腫537例の検討 : 策3編:治療について
四方 卓磨松村 隆文松田 義和沢田 淳
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1994 年 30 巻 2 号 p. 261-272

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抄録

1歳未満で診断された神経芽腫例の臨床像,治療の現状を把握し集学的治療の確立をはかるために全国アンケート調査を施行し,集計された537例の治療について検討した.診断年が1958〜1979年(前期), 1980〜1984年(中期)と1985acd1989年(後期)にわけて検討した.病期 I, II はどの時期も腫瘍を全摘後に, James 療法を施行するのが一般的であった.手術療法のみで化学療法なしの無病生存が,後期のI期で118例中16例と増加した.病期 Ill, IV (IVA+IVB) は,術前化学療法ありが前・中・後期の合計で32% (46/142例)と多かった.全摘率は前・中期で44% (17/39例)であったが,後期は十分な術前化学療法が施行され, 81% (76/94例)と改善した.化学療法は前期では James 療法が多かったが,中・後期はプロトコールは様々であった.後期の CDDP 投与例は III 期で52% (34/65例), IV 期で73% (27/37例)であった.病期 IVS は化学療法は James 療法が主であった.放射線療法の施行は後期で,I期,II期, IVS 期は減少したが, III 期は43% (29/67例), IV期は43% (16/37例)と依然多かった.治療終了後の生存例での化学療法期間の平均値は後期で,I期5.5か月(70例), II 期10.2か月(78例), IVS 期10.1か月(22例), III+IV 期16.3か月(45例)であった.主に病期により治療の方針が決定されていた。同じ病期の MS 例と MS 以外例で大きな差はなかった.I 期,II 期, IVS 期では化学療法,放射線療法は軽減の傾向であったが, III 期,IV 期は強力な化学療法および放射線療法の施行例が多かった.

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