日本小児外科学会雑誌
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腎外性ウイルムス腫瘍の1例
岡田 忠雄真家 雅彦江東 孝夫新保 和広堀江 弘
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1994 年 30 巻 5 号 p. 945-951

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抄録

腎外性ウイルムス腫瘍は稀な疾患である.最近我々は後腹膜腔に発生した腎外性ウイルムス腫瘍の1例を経験した.症例は2歳6ヶ月の男児.腹部腫瘤を主訴に当科紹介入院.左上腹部に手拳大で,表面平滑な硬く可動性のある腫瘤を触知した. IVP にて左腎杯は変形なく左腎および尿管が左上方外側に圧排偏位していた. MRI では腎との境界明瞭な充実性腫瘤が左腎の内側,下方に存在した. VMA, HVA, AFP は陰性であった.平成4年6月24日手術が施行され,左腎正中側に8X10X7cm大の被膜に覆われた腫瘤が存在し腎門部と線維性の癒着を認めたが,腎実質との連続性はなく腫瘍のみを全摘しえた.組織学的に腎芽型大巣亜型の腎外性ウイルムス腫瘍と診断された.術後化学療法を施行し,術後1年を過ぎた現在再発・転移なく経過している.

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© 1994 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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