抄録
回腸閉鎖に, さらにその肛門側盲端のポリープ様遺残腸管を先進部とする腸重積症を合併した新生児症例を経験した. 症例は, 在胎40週3日, 正常分娩, 生下時体重4866gの男児. 生後1日目に正常の胎便を認めたが, 生後2日目に腹部膨満及び中等量の粘血便を認めた. 腹部レ線で小腸ガスの増加と鏡面像を多数認めた. 注腸造影で, 肝弯曲部に蟹爪様所見を認めたので, 新生児腸重積症を疑って開腹術を施行した. 手術所見では Treilz 靭帯より 210cm 肛門側に離断型の回腸閉鎖を認め, さらにその遠位側に回腸-回腸-結腸型の腸重積症を合併していた. 腸重積の先進部は, 肛門側盲端より内腔に突出したポリープ様の索状物であった. 用手的に腸重積の整復を行った後, 回腸-回腸端々吻合術を施行した.