日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
腹腔内出血を伴った新生児血友病 A の1例
岡崎 任晴藤原 利男土岡 丘黒須 祐作町田 尚美大城 清彦山口 紀子砂川 正勝
著者情報
キーワード: 血友病, 新生児
ジャーナル フリー

1996 年 32 巻 1 号 p. 43-47

詳細
抄録
血友病は代表的な先天性凝固因子欠乏症であるが,多くの場合乳幼児期以降に出血症状を呈し,新生児期の発症は稀であるといわれている. 今回われわれは新生児期に腹腔内出血にて発症した血友病 A の1例を経験した. 症例は日齢2の男児,貧血,黄疸を主訴に来院した. 来院時軽度の腹部膨満,左鼠径部から陰嚢にかけての皮膚の暗青色の変化を認めた. X線検査上左鎖骨骨折,腹水の貯留が認められたため,分娩時外傷による腹腔内出血の診断にて同日手術を施行した. 手術所見では出血源は肝下面あるいは大網と考えられた. 術後創部からの出血が持続したため凝固機能を精査したところ,第 VIII 因子は0.6% と著明に低下しており,血友病 A と診断した. 本邦においては1961年以降自験例も含め67例の新生児期発症の血友病 A の報告がある. 本邦報告例について検討を加え報告した.
著者関連情報
© 1996 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top