日本小児外科学会雑誌
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先天性胆道拡張症に対する経皮経肝胆道ドレナージの検討
大塚 恭寛高橋 英世岡住 慎一大沼 直躬田辺 政裕吉田 英生岩井 潤栗山 裕
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1996 年 32 巻 6 号 p. 907-912

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抄録

小児の先天性胆道拡張症(CBD)に対する経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)につき検討を加えた.当科では過去10年間に, CBD 11例(嚢腫型9例,紡錘型2例)に対して,再挿入2回を含め延べ13回の PTCD を施行したが,これらを検討対象とした. PTCD の適応は,血清総ビリルビン値(TB)が7.0mg/dl 以上の閉塞性黄疸例と,抗生剤治療に抵抗性の胆管炎合併例としたが,内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)後の上行性胆管炎の予防を目的とした例もあった.方法は,全例で全身麻酔を併用し,右肋間走査による超音波誘導下に目的とする胆管を穿刺し,ストレート・フラワー・ピッグテールのいずれかのカテーテルを挿入留置した.その結果,紡錘型の2例と,肝内胆管の拡張を伴った嚢腫型の1例では,右前枝を穿刺して肝内性にカテーテルを挿入し得た.しかし,肝内胆管の拡張を伴わない嚢腫型の8例では,できるだけ肝門部近傍の肝外胆管を経肝的に直接穿刺してカテーテルを挿入した.減黄効果は良好で,術前は平均11.0mg/dl であった TB が,術後は平均1.2mg/dl と著明に低下していた.カテーテルの留置期間は平均28.0日で,全例,根治手術時に抜去した.穿刺に伴う合併症は認めず,留置中の合併症として,ストレートを挿入した嚢腫型の2例にカテーテルの逸脱を認めたが,これに伴う胆汁性腹膜炎などの重篤な合併症は認めなかった.

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© 1996 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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