1998 年 34 巻 2 号 p. 300-305
ファイバー・プローブを皮下に刺入してNd-YAGレーザーを海綿状血管腫内に照射する方法により良好な結果を得たので報告する.対象は皮下海綿状血管腫4例で, 年齢は3カ月∿6歳, 全例女児, 部位は下肢・乳房・顔面・頸部が各1例ずつ, 大きさはφ4∿5 cm大であった.経皮的に穿刺した静脈留置針の外筒に, 先端がbare fiber状の石英ファイバー・プローブを挿入し, Nd-YAGレーザーを20 W×1.0∿2.0秒のスポット照射として, 計5000∿10, 000 Jの照射を2∿4回施行した.各症例とも腫瘍が約1/6∿1/2に縮小し血流の著明な減少を認めた.合併症として皮膚小穿孔, 軽度感染, 上腕挙上障害(顔面部症例), 顔面神経麻痺(頸部症例)がみられたが, 軽度顔面神経麻痺を除いて自然治癒に至った.本法は美容上満足できる結果が得られ, かつ, 簡単な手技であるため, 大量出血や著明な瘢痕形成の危険性などで治療困難な海綿状血管腫に対して有効であると思われた.