日本小児外科学会雑誌
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術前評価に三次元 CT 画像が有用であった巨大水尿管を伴う高位鎖肛の 1 例
白井 量久堀澤 稔杉浦 禎一松永 和哉西本 和生青野 景也新實 紀二高橋 郁夫
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1998 年 34 巻 7 号 p. 1196-1201

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抄録

我々は巨大水尿管を伴う高位鎖肛の症例を経験し, 術前に三次元CT画像を用い複雑な解剖学的位置関係の評価に大変有用であったので報告する.症例は7カ月, 男児.鎖肛と右の停留睾丸を認めたが, 外見上他の合併奇形はなかった.高位鎖肛, 直腸膀胱瘻と診断し, まず横行結腸ストーマ造設術を施行した.その後の画像診断で右水腎症, 左巨大尿管, 左腎萎縮を認めたため, さらに右腎瘻, 左尿管瘻造設術を施行した.経過良好で左尿管瘻を残しいったん退院した.さらに全身麻酔下で三次元CT像を作成し直腸, 巨大尿管などの複雑な位置関係を立体的に明らかにした.左巨大尿管・左腎萎縮は左膀胱尿管移行部閉鎖によるものと診断された.生後7カ月で肛門形成術, 左腎・巨大尿管摘出術, 右精巣固定術を一期的に行った.鎖肛病型は直腸膀胱瘻であったが, 直腸と括約筋群との位置関係を術前に把握できていたため, 超音波検査と電気刺激とを併用することで腹会陰式に直腸盲端を正確に引き降ろすことができた.

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© 1998 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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