日本小児外科学会雑誌
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小児における予防的食道静脈瘤硬化療法の適応基準 : 食道静脈瘤出血例の内視鏡所見による検討
東本 恭幸連 利博毛利 成昭大畠 雅之岡 成光西島 栄治津川 力
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1999 年 35 巻 4 号 p. 661-665

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抄録

【目的】小児門脈圧亢進症(以下, 門亢症)に随伴する食道静脈瘤出血は直接生命を脅かす重大な合併症であるが, 小児における食道静脈瘤に対する予防的硬化療法の是非とその適応基準は明確にされていない.そこで, 自施設で経験した食道静脈瘤出血例を分析し, 小児におけるrisky varicesを明らかにし, 予防的硬化療法の適応基準を検討した.【方法】小児門亢症症例のうち, 吐下血後の緊急ないし待機的内視鏡検査により食道静脈瘤からの出血と判定した17例(8カ月∿9歳)の内視鏡所見および, 硬化療法後食道静脈瘤再出血例9例(記載不明瞭な1例を除く)の内視鏡所見から, risky varicesの特徴を分析した.【結果】初回出血時の内視鏡所見では, 発赤所見(以下RC)陽性例が16例(94%)を占め, すべてF2以上の静脈瘤を有していた.RC陰性の1例は, F2, Cbであった.再出血時の所見では, 全例RC陽性であったが, Cb症例(n=14)ではF1の静脈瘤が4例(29%)に見られたのに対し, Cw症例(n=4)ではいずれもF2の静脈瘤を有していた.【結論】小児における予防的食道静脈瘤硬化療法の適応基準としては, (1)硬化療法の既往のない症例では, F2以上で, RC陽性または青色静脈瘤, (2)硬化療法の既往がある症例では, RC陽性で, F2以上または青色静脈瘤, とするのが妥当と考えられた.

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© 1999 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

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