抄録
【目的】小児片側鼠径ヘルニアに対し術前に超音波にて対側鞘状突起開存(contralateral patent processus vaginalis (CPPV))の有無を検索し, 術後の結果と比較して超音波の有用性を検討した.【対象と方法】対象は小児片側鼠径ヘルニア166例(男児80例, 女児86例).CPPVは立位または啼泣にて腹圧をかけることにより超音波にて水腫として同定しやすくなることを用い, 外来診察時に立位または啼泣下に超音波にてCPPVの有無を検索した.その結果内鼠径輪より鼠径管を通る水腫が見られる症例をCPPV疑診例とし, 大きさを測定して両側手術を行った.手術の結果CPPVが認められた症例を陽性例とし陽性例/疑診例を正診率とした.予備的検討を行った50例でCPPV疑診例の水腫の縦径と術後の結果とを比較検討した所, 疑診例の内, 縦径10 mm未満の症例4例中3例が手術の結果CPPV陰性であったため以降の116例は水腫の縦径が10 mm以上をCPPV疑診例として両側手術を行った.【結果】166例において疑診例, 陽性例はそれぞれ38例(22.9%), 36例(21.7%)で正診率は36例/38例(94.7%)であった.【結論】水腫の縦径10 mm以上をCPPV疑診例とする事で90%以上の正診率を得, 術前超音波により小児片側鼠径ヘルニア全症例の約22%にCPPVを認め予防的手術を施行し得た.